また会う日まで

40代半ばで夫と死別。人生についての気づきを感じるままに。

この日に限って運転は私だった

普段どおりの朝だったと思う。

ただ、いつもと違ったのは、

起こさないと起きないのに、

この日に限って夫は自分で起きてきた。

 

自営の仕事場へ向かう車の運転はいつも夫だった。

ただ、この日は違った。

車のキーを私に差し出し、

「運転頼む」と言った。

昨夜飲み過ぎて調子が良くないのかしら。

と、くらいにしか思わなかった。

 

あの日、車の中で会話したのだろうか。

前の晩によくしゃべっていたのは覚えているが、

どうだったろう。

 

仕事場まであと少しのところで、

ふと助手席の夫を見ると

窓の方を向いて頭が不自然に揺れていた。

「大丈夫?!」 声をかけた瞬間

ドスっと音をたててシートに持たれかかり、

いびきをかきはじめた。

 

待って!ダメだよ!

救急車呼ぶからね!

起きて!おきて~っ!

 

車を停めて119番した。

深い呼吸で自分を落ち着けた。

電話の向こうで呼吸を見るように言われ、

鼻と口に手のひらをあててみた。

「止まっています!」

顔色は土色に変わり、目も口も半開きで

もう意識は無くなっていた。

 

救急車は向かっているが、

すぐに近くの人に助けを求めるように言われる。

「誰か!救命措置ができる人はいませんかっ!?」

・・・いなかった。何人も集まってくれたけれど。

AEDもなかった。

 

ねぇ、いつもどおり貴男が運転していたら、

私も一緒に逝けたんじゃないかしら。

 

救急車が来たときはすでに、

心肺停止の状態で、

それでも何とか機械によって心臓を動かすことができたから

救急病院へ搬送され、ICUでの処置が始まった。

 

この時はまだ大丈夫だと

根拠もないまま自分を励ましていた。

  

 

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